混沌魔術, 魔術

ラグズ

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 ラグズ。即ち湖を示すルーン文字はキリスト神秘主義においてエクスかリバーが生み出される聖なる文字の1つである。湖はほとんど誰でも知っている通り水のたまり場であり、河川があれば湖が源ないし終わりの元となる。或いは降り注いだ雨がたまり閉じ込められ、行き場をなくした沼も湖なのかもしれない。ラグズ自体に悪い意味は無いとされるが、停滞-イサと組み合わせら考えるとそれは人生要するにLifeとなる。フェフとエーワズが並ぶ人生は所有される経験であり死と言う狩者により刈り取られる稲穂に似ている。ラグズはこの湖いわば意識の成り立ち方を理解する故で重要なキーとなる。その人が如何なる水を溜め込んでいるのか?あるいはどのような水を溜め込んでいるのか?その水たまり場は漣荒れているのか?または静かで鏡のような物―まさにエクスかリバーが登場したような神秘的な物なのか?ラグズは非意識そのままといえる。ラグズは穏やかでると考えるならばそれは癒しの力を連想させるがこれは近代のコンクリートに囲まれた文明人だけが、自然を目にして反応する所謂ヒーリングの魔術でしかなく、もしも貴方が湖の側で幼少の頃より生活しているならば、貴方は湖が親より危険であると教えられ、物心ついたときには湖が遊び場となり、その土地より遠く離れればアルカディアを連想させるホームベースとなるだろう。そこにヒーリングという物は無くもし貴方の友人が、湖のヒーリングと発言するならば失笑するだろう。
 心理学的なモデルに於いてラグズは意識の一部であるといえよう。光の届いている部分のみが意識とされ、光届かぬ底は非意識と捉えられる。またラグズは領域として考えることも出来る文字である。湖という地球の一部は私達の意識の中において、「大きな水たまり場」として考えられず、湖という固有名詞をもって考えられるその理由は、湖がやはり独立した意味を持って私達の意識に把握されていることを意味する。このような領域という考え方は、ルーンのいくつかの文字に見出すことが可能でありそれ自体がエネルゲイア従者を喚起させるキーとなる。古今東西、湖に人身御供を1人も行わなかった民族はいないだろう事からも解るとおりラグズのエネルゲイア従者とは決して肯定的な力だけをもっているものではない。ラグズは他の文字に比べると地味な力をもつとして考えられるがそれはもしかしたら巨人のルーン文字として初期の時代には恐怖の対照として考察されたのかもしれないということは、かの悪神ロキがRではなくLから始まることに繋がるのかもしれない。またキリスト教においてルシファー、リバイアサン等はLで始まっている。このようにラグズは巨大な潜在的なネガティブな意味を持つということを私はつくづく思う。